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朝方は残っていた雨がやんで、涼しい土曜日。
今年の夏は雨が多い。
夏の終りのすこしやわらいだ光と、埃と、雨の匂い。
雨宿りの古い記憶。
夏の終りのパリで、翌日に乗るロワール地方行きの列車の切符を予約する為、
Gare d'Austerlitz (オステルリッツ駅)へ出掛けて、
帰り道、雨に降られたことがありました。
雨宿りをした石造りの建物からは、時々、人が出てくる。
子供を連れた人が多いのはなぜだろう…?
雨音を聴きながら、しばらく眺めていました。
博物館と表示されていて、よくわからないけれど、雨がやむまでの間、
見てみようかな…。
雨傘を持たずに外出したことを後悔しながら、これから投宿しているホテルに戻っても
他へ行くほどの時間もないのだし、と入館料 20 F(フラン)を払って入り、
仄暗い室内に、おびただしい数の恐竜やほ乳類、鳥類、魚類の標本のならぶ様子に
眼を瞠(みは)ってしまいました。
その日のことは、二十年以上前なのに、庭園に咲いていた背丈の高いダリヤの花や、
少年が祖母らしき女性に手をひかれ帰っていく後ろ姿まで、不思議なほどはっきりと
憶いだされます。
正面口ではなく、裏口だったせいでひっそりしていて、外から中の様子はうかがえず、
その分、脚を踏みいれた時の思いがけなさは、忘れられない。
雨の日の Le Muséum national d'histoire naturelle (国立自然史博物館)。
今はもう列車の切符の為だけに駅へ出掛けていく必要はないし
あふれかえる情報の中で、先に知っている事が増えてしまい、
それは便利だけれど、そうではない頃に在ったものが何処かへ消えてしまったように
寂しく感じる時があります。
パリ自然史博物館は、映画でも時々みることがあるのですが、
「 La Jetée(ラ・ジュテ) 」は、クリス・マルケルが、
モノクローム写真で綴った映像作品。
第三次世界大戦後の世界が描かれ、崩れたパリの街、地下壕に生活する人々、
自然史博物館、オルリー空港…。
昨年のポンピドゥー展で映写されていたのに、行きそびれてしまいました。
「 La Jetée 」 1962 Chris Marker
2017/9/2
12:05
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